です!
オーストラリアで看護師を目指す方が増加傾向にある昨今、今一度オーストラリアと日本の看護師について比較をしてみようではありませんか。
インタビューさせて頂いたのはオーストラリアでおたんこナース(@AUS_otanko_Ns)こと、高橋奈央子さん。日本で看護師を6年経験したのち、現在はオーストラリアで正看護師として働いています。
(ここからはAkari=あ、おたんこなーす(高橋奈央子)さん=高で進めます。)
ワーホリでローカルの仕事をした人にインタビューに続きオーストラリアにまつわるインタビューです。
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目次
日本と海外の看護師の違い
一番気になるオーストラリアの勤務体制(残業、有給)
あ「まず最初に勤務体制のことについて教えてください!」
高「はい、まず私は外来の看護師なので平日の日勤帯のみの勤務です。勤務体制は病院や部署ごとに違います。2交代のところも3交代のところもあります。ですのでシフトも固定です。」
あ「そうなんですね。日本でも外来の看護師さんは平日のみの日勤で働く方が多いですね。2交代、3交代やシフト制の導入が病院や部署毎に異なるのも日本と一緒ですね。」
あ「シフトの作成や勤務の調整は誰が行いますか?」
高「その仕事を任された一部のスタッフが組みます。師長がやってるところもあるけど、それは師長が任せられるスタッフを見つけられていないってことだと思うな。」
あ「勤務を作る担当のスタッフがいるんですね!日本では師長が勤務を作成するのが一般的なのでそこは違いがありますね。」
あ「お休みについて教えてください。」
高「はい。私は外来勤務なので基本的に土日祝日がお休みですね。うちの職場ではそれとは別でホリデーが4週間もらえます。ホリデーノートというものがあって、それに人と被らないように希望の期間をそれぞれ記載します。取り合いになりますね(笑)」
あ「4週間ももらえるのはすごいですね。日本では考えられないです。周囲の話やネットで調べた限りでも日本では6日~12日間くらいが平均的な長期休みの長さですね。それでも休み明けは全てを忘却してますので、4週間ともなると新人に戻りそうです。」
あ「有給は何日もらえますか?」
高「私のところでは年間6週間の有給がもらえます。日本より取りやすいという実感はあります。職場でもなるべく消化できるようにすすめています。」
あ「日本ではなかなか有給は取得出来ないですね。与えられる日数は年次や雇用形態によって異なっていますね。たまに病欠で休むとそこを有給消化に当てられることがあります。病欠は病欠で別で休みあるんちゃうかといつも思いますね。」
あ「残業について教えてください。」
高「ほぼないです。」
あ「!?」
高「病院、部署によりますけどね。救急とか部署によっては人が足りなくて残業しているところはあるけど、それは残業したい人がしているって感じかな。その労働環境が嫌なら移動できるし。あとサービス残業なんてもちろんないです。」
あ「超すてきですね。」
高「あと残業貯金というものがあって。たとえば30分残業した日があったとして、残業申請するのめんどくさいなーってなったら次の日30分早く上がれるというものです。便利です。」
あ「それとても便利ですね!日本ではいくら暇な日でも必ず定時まではいなきゃいけないので、空白の時間が生まれたりしますね。
残業は残業で当たり前のようにあるし。就業時間より早めに来て患者の情報収集をするというのも多くの病院では当たり前になっていますね。時間の使い方に融通が効くというのはいいですね。」
オーストラリアで働くメリット色々
あ「オーストラリアで看護師をしていて、日本と違ってここが良いな、と思ったことはありますか?」
高「オーストラリアの市民の方々は日本よりも看護師をいちプロフェッショナルとしてみてくれる傾向があります。看護師以外の方々が私たちの意見に耳を傾けてくれる土壌がありますね。
また、キャリアアップデザインやサポートが充実しています。看護師として働き続ける中でもっとステップアップしたいという意識の高い人はオーストラリアで働くのに向いていると思います。」
あ「そうなんですね!今は昔の話かもしれませんが、日本では看護師は医者の小間使いというイメージを持っている人もいますよね。高齢の方が男性看護師に「医者になれなかったのね」と言った場面も見たことがあります。
日本人が持つ看護師観はオーストラリア人のそれとは異なるみたいですね。実感としては近頃は専門職としての地位を獲得してきているとは思いますが。キャリアアップデザインが充実しているのは素敵ですね!」
高「研修のための休みがしっかりとれるし、金銭的なサポートもあります。無料のプログラムに参加できる機会も用意されていますね。また、大きな特徴として、自分でスポンサーをリクエストできるという制度があるんですよ。
「自分がこの知識やこんな技術を習得することで職場にこんなメリットをもたらしますよ」というアピールをしたり実績を示したりすることで、リクエスト先の企業や団体が参加費や宿泊費を出してくれるんです。日本だと自費で研修に参加したり、休みを使って行くことが多いのでそこは大きな違いですね。」
あ「確かに日本では研修や学会に行くとなると参加費から交通費から全て自費になることが多いですね。
行きたい研修に行くにしても休みを合わせないといけないから1ヶ月以上前から休みの申請をして、と日程を合わせるのも大変です。働きながら専門看護師の資格の勉強をされている方もいますし。日本でも専門看護師や管理職への昇進などキャリアアップの機会は多数用意されてはいますが、その負担は二国間で大きく異なるみたいですね。」
驚きのオーストラリア
あ「オーストラリアの病院で起こることとして、日本では考えられないようなことはありますか?」
高「いっぱいありすぎて(笑)とにかく自分が普通だと思っていたことがそうではないんだと気づかされる毎日です。患者さんが廊下でも外でもずっと裸足で過ごしていたり、看護師たちが時間に遅れてきたりしてもそれが普通だったなんてこともよくあります。日本だと前残業してたりすることもあるのにね。」
あ「色んな意味で自由だしルーズですね~本当に日本では考えられないです。」
高「一番びっくりしたのはドラッグ関係の患者が多いことかな。問診で普通に「ドラッグやってますか、やってましたか?」って聞きますし、患者さんも「昔コカインやってたよ!」とかって答えてくれる(笑)
しかもそれを近くで聞いてた患者が「俺も昔○○をやってたぜ!」とかって触発されて話し出したりすることもあって(笑)日本より身近にドラッグが存在していて違いを感じますね。私も盛られたことがあります。」
あ「!!?!??!?」
高「そういうことがあって、以前日本で日本人対象にドラッグ防止のキャンペーンのセミナーや講義をしたことがあります。年に一回はそういうセミナーなどの活動を日本でしていますね。」
あ「(あまり突っ込んで聞くのがこわい)
そうなんですね、日本だとドラッグ疑いの患者が来るとすぐ警察に引き渡して軽い騒ぎになりますのでそのへんの認識の乖離はすごいですね。」
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日本とオーストラリア、二つの国での看護師経験を持つ高橋さんの目線から見えてくる日本の看護現場とは
あ「高橋さんは日本とオーストラリアの両方で看護師の経験をお持ちですよね。オーストラリアで看護師として働いてみて見えてくる日本の看護師について教えて下さい。」
高「日本の看護師は丁寧だしきめ細やかで技術力がとても高いと思います。とても高く評価できるところもありますが、もっと健康的な組織に変わっていく必要があると思います。
例えばスタッフがやめたいと言ったとき、管理職は手のひらを返したような扱いになることがあると思いますがオーストラリアではそのようなことはありません。
オーストラリアでは看護師は地域で育てているという意識が強く、やめるときは「うちで育ったナースが他のところで活躍してくれるんだ」と気持ちよく送り出す文化があります。スタッフを病院の私物化するようなことはありません。」
あ「確かに日本の看護師さんが職場を辞めるときにすごく反対されるって話はよく聞きますね。」
高「そうですよね。また他に見えてくる違いとしては、オーストラリアの病院では立場が上になるほど、様々な人からフィードバックを受けるのが特徴です。
上司だけでなく、部下や同僚など360度から評価されるのです。また、部下がミスを犯したときは必ず上が責任を取る文化があります。日本では管理職へのサポートや管理業務がワンマンにならないように正すしくみが足りないのではないかなと思いますね。」
あ「そうなんですね。管理職の方が部下からもフィードバックを受ける土壌があるのは驚きです。日本では下からはストレートな意見は言えませんから。」
高「うんうん。あとは、日本ではものごとをはっきりさせず曖昧にしてしまうところもあると思いますね。
オーストラリアでは曖昧にしたままだと必ずどこかから「これ、どうなってるの?」という確認やお叱りが入ります。はっきり分かりやすいことが好ましいとされているのでそこは大きな違いがあるかなと思いますね。」
あ「日本のコミュニケーションは”汲み取る文化”というのはよく言われますよね。オーストラリアでははっきりとした態度で働くことが大切なんですね!」
オーストラリアの看護師さん、どんな感じなん?
あ「なんかこう、ふわっとした質問で申し訳ないんですが、オーストラリアの看護師さんたちってどんな感じなんでしょう?」
高「物事をはっきりさせる文化があるので人もそのようになります。
カンファレンスが始まるとみな様々に自分の意見を発言しますが、日本の会議と違って発言を求められたり振ってくれることもないため、自分から会話に割り込んで行かなきゃならない。私はもともとメンタルは強い方だったんですが、こちらにきてだいぶ鍛えられました。」
あ「日本でさえ看護師は気が強いと言われがちですが、さらに強い感じなんですね。」
高「日本人は消極的な傾向があるから、もっと自分を表現していくことが重要かな。
さらに言えば意思を表明するだけでなく、どうすれば敵を作らずにうまくやっていけるか、という駆け引きも重要です。英語力だけじゃなくてね。」
あ「看護師という仕事の性質上、語学力とは異なるコミュニケーション能力は大切ですよね。貴重なお話ありがとうございました!」
(まとめ)日本と海外の看護師に違いはあった
最後まで読んで頂きありがとうございました!
日本とオーストラリアの看護師比較はあくまで私と高橋さんの例にはなっていますが、なるべく平均化した現場を伝えられるよう頑張ってはみました。こう比較してみると日本は安全だなあとか思う一方、まだまだ改善の余地がありそうとも感じますね!
オーストラリアの看護師のいいところ、日本の看護師のいいところがいい感じにミックスされてさらに良い業界になったら嬉しいなと思います。
取材にご協力頂いた高橋さんには感謝の思いでいっぱいです。本当にありがとうございました。
これを見てオーストラリアで看護師をやりたいと思ったあなた!次回の記事ではオーストラリアで看護師として働くにはどうすればいいの?という内容をお送りしたいと思います。是非ご覧ください(^o^)
参考文献:「看護師の業務と役割の模索 厚生科研[諸外国における看護師の新たな業務と役割]から~オーストラリアの場合~」.看護管理vol13.2003年11月